旧ソ連のレンズで見る現代東京

Journal & Reflections

変わらず写真を撮り続ける毎日。

先日、新しいレンズが仲間入りをしました。
「Helios44(ヘリオス) 58mm F2」というオールドレンズのなかでは有名なモデルです。

私が最初に手に入れたオールドレンズである「Jupiter9(ジュピター) 85mm F2」と同じ、旧ソ連でつくられたレンズです。

↑や↓の写真はHelios44で撮ったものになります。


私が手に入れたHelios44は「初期型」に分類される個体で、KMZ製の1960年頃につくられた古いものになります。

中心はキリリと写りますが、周辺は滲みつつ荒いボケ方をするのが特徴です。
現代レンズとは違う、個性的な描写に面白みを感じています。


海外倉庫に2ヶ月ほど預けており、本業のアンティーク品が集まったタイミングで一緒に輸入しました。

購入してから随分と " お預け " 状態だったため、雨の日にも持ち出して撮影を楽しみました。新しいレンズってやっぱりわくわくします。


今回の「Journal & Reflections」では、この新たな仲間Helios44を中心に、私が住む自然豊かな場所と、仕事で向かった渋谷や六本木でスナップした写真を交互に紹介します。


こちらはマクロヘリコイドで接近した一枚。
最短20cmくらいまで寄れました。
ここまで寄るとHelios44のざわつくボケ感がソフトな印象に変わるようです。


さて、ここからは渋谷での写真に移ります。
レンズも変えて「宮崎光学 MS-OPTICS DAGONAR(ダゴール) 40mm F6.3」での撮影になります。

Helios44とは対極となるようなDAGONARのハッキリとした写りが気持ち良いです。


渋谷のビル群、新旧コラボ。

母艦であるSIGMA fpLの能力を引き出してくれるレンズです。
これほど精密に写るにもかかわらず、重量わずか50g。

あまりに軽く、あまりに写る。恐ろしいレンズです。


曲線と直線。光と影。
渋谷のセルリアンタワー内からの一枚です。


DAGONARのF6.3という暗さを活かした一枚。

オールドレンズを使うとボケの面白さから解放で撮ることが多いため、この明暗差が撮影体験を楽しくさせます。


幾何学模様。
そして、


曲線美。

こちらは以前も紹介した彫刻家 安田侃(やすだかん)の作品「天秘」
斜めから撮ると流線型のフォルムが際立ちます。


また自宅周辺に戻ってきて、花たちを。
レンズは変わらずDAGONARです。
マクロヘリコイドと合わせることでここまで寄れます。


もう終わりかけの彼岸花。
ほとんどが枯れていましたが、それでもアゲハは一生懸命に蜜を吸っていました。


ここからまたレンズはHelios44に戻ります。

夕焼けの一枚です。
陽が傾き肌寒くなっていますが、まだまだ夢中で川遊びする少年がいました。


陽が落ちる寸前。
オレンジから真っ赤な夕日に変わりました。

赤ちゃんを抱っこするお父さん。
美しい輪郭です。


さて、レンズはHelios44のままに場所が移ります。

六本木周辺で撮った写真になります。


六本木では、開放だけではなく絞りつつ撮りました。

ビル群の隙間から差す光にレンズを向けます。


ここは六本木ヒルズ内。

三男にぶん投げられて画面が割れたスマホの修理に来たら、なんと見積もりが45,000円。
エスカレーターにもたれ掛かりつつ、シャッターを切りました。
(修理は見送りました...)


ヒルズ内を散歩するワンコたち。
慣れた様子で自動ドアを過ぎていきます。


毛利庭園に差し込む光。
待ち合わせ中とおぼしき女性の背中を照らしています。


視線を下げるとスーツ姿の4人組が重い足取りで階段を下っているところでした。
恐らく就活でしょうか。ガンバレ。


確か、昨年の冬に葉加瀬太郎さんのラジオに出演したぶりに訪れた六本木ヒルズ。
その前に来たときも同じくラジオ出演でした。

今回の目的はラジオではなく、仲間たちとgawaの打ち合わせです。


少し移動して渋谷付近。
鉄骨と影、そして窓のレイヤーが目を惹きました。

変わらずHelios44で撮影しています。


長い信号待ち。
ようやく青になって渡ろうとして、思わず引き返してレンズを向けました。

ひとり伸びていったツルから伸びる影。
良いじゃないですか。
応援したくなります。


富士フィルムビルの横にあるマンション。

あの隅の部屋の住人はちょっと怖くないのだろうか。


ヒルズから撮った東京タワーも忘れずに。
ちょっと解放気味に。
良い天気でした。


このHelios44というレンズは「ぐるぐるボケ」と呼ばれる独特な背景のボケ方をします。
開放で撮ると、背景が渦巻きのようにぐるぐるとボケていくのです。

そのため人物が " 浮き立つ " 仕上がりとなり、ポートレートにも人気のレンズなのです。
山歩きで三男をパシャリ。


打合せ中にもパシャリ。

このクセのある背景がHelios44の魅力です。
面白いと感じるか、うるさいと感じるかは人それぞれでしょうか。
撮っていて楽しいのは間違いありません。


最後は、コシナの「Voigtlander HELIAR classic 75mm F1.8」というレンズでの写真です。
フォクトレンダー ヘリアー クラシックと読みます。

場所は原宿と渋谷のあいだくらい。
絞って壁を撮りました。

2010年に発売されたレンズで、現在は生産終了品です。
ちょっと重いですが、とても気に入っている一本です。

撮るぞ。と気合いが入るレンズなので、使用時はLVF-11ビューファインダーを装着することが多いです。


水色の壁と、朱色のハシゴ。
可愛いらしい配色。
配管の流れも善きアクセントです。


渋谷の喧騒のなか、花壇に咲いていた薔薇。
撮りなさい。と言われるがままにシャッターを切りました。


最後の一枚も開放気味に撮った花と水滴を。

現在の趣味用レンズをまとめると6本が揃っています。

・7artisans 35mm F5.6 改造
・7artisans 35mm F1.4 Ⅲ
・DAGONAR 40mm F6.3
・Helios44 58mm F2
・HELIAR classic 75mm F1.8
・Jupiter9 85mm F2

ひとまずこの布陣で撮り続けます。
いつか時がきたら、7artisans 35mm F1.4 Ⅲと入れ替えて、NOKTON 40mm F1.2 Aspherical IIを買い足そうと思っています。

DAGONARで味わった40mmの画角を、明るいレンズでも覗いてみたいのです。
いま、写真を撮るのが本当に楽しいです。

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