Habit à la française Making Guide

Making Guide

このページではHabit à la française(アビ・ア・ラ・フランセーズ)をつくる方に向けて「想像力を刺激するアイディア」「構造を理解するヒント」を提供します。

あなたらしいアビ・ア・ラ・フランセーズを仕立てる一助になれば幸いです。

アビ・ア・ラ・フランセーズを製作するにあたり、必要な生地の用尺を表にまとめました。

例えば、サイズ4で生地が110cm幅の場合は「4.5m」必要になります。
たっぷりと布を使って仕立てるアイテムになります。


オリジナルは、細かなドット模様のシルクベルベット生地でつくられています。
裏地はシルクサテンです。


アビ・ア・ラ・フランセーズには、大ぶりなボタンがたくさん付きます。
その数は24個あまり。
お気に入りのボタンをたくさん揃えておきましょう。


背面のプリーツ部分も見どころのひとつ。
縫い目が重なるため、縫製が大変な部分ではありますが、ゆっくり丁寧に縫い進めていけば大丈夫。
焦らずにひと針ひと針縫っていきましょう。


こちらの動画では、アビ・ア・ラ・フランセーズの構造や縫い方のコツについて説明しております。


ここからは、いくつかの作例をお見せします。

 

無地の生地でシンプルにつくることで、アビ・ア・ラ・フランセーズ本来の造形美を際立たせることができます。

後に流れていくようなフロントカットが美しいです。


フロントとは相反するように前面に湾曲した袖。
乗馬やダンスの腕の動きに合わせた設計になっています。


この後ろ姿に私は魅了されます。
18世紀ロココ紳士の背中です。


ダークグリーンの生地での作例。
この1着は、ミシンを使わずにすべて手縫いで仕上げました。


生地に縮絨(しゅくじゅう)加工をし、柔らかい印象に仕上げています。
とても着心地の良い1着になりました。


また、アビ・ア・ラ・フランセーズらしい大ぶりなボタンではなく、あえて小ぶりなボタンを選んでいます。
小さなボタンの羅列から、どことなく知的な印象が漂います。


こちらは極薄のコットン生地で仕立てたアビ・ア・ラ・フランセーズ。
あまりに薄いので生地を二重にして縫製しています。
縫い代はロック始末、裾は断ち切りとかるく仕上げました。


ポケットもパッチポケットに変更しダブルステッチを走らせて、カジュアルにアレンジしてみました。


薄い素材でつくるのも面白いです。
春夏に着用できるアビ・ア・ラ・フランセーズになりました。


ここからは、無地ではなく柄物でつくった作例を紹介します。
すべて「着物の反物」から製作しています。



こちらは、ちょうちょ柄のアビ・ア・ラ・フランセーズです。



チェック柄でつくるのも楽しかったです。
ただし、柄合わせが非常に大変です。

柄合わせをすると用尺も多く必要になるので、ご注意ください。


現代にはない独特な構造をしているため、チェック柄でつくると構造の面白さが際立つように感じます。


個人的に好きな「矢羽根」模様。
ユニークな1着に仕上がりました。


着物地にボタンホールは開けたくなかったので、縫い目を追加してシームホールにアレンジしています。


最後はシックな色味の柄物生地です。


お家に眠っている生地で、アビ・ア・ラ・フランセーズにぴったりなものが思い浮かびましたか?

無地でも柄物でもどんな生地でつくっても可愛く仕上がるのは、250年の歴史に裏打ちされた造形美があるからこそでしょうか。


ここからは、型紙を購入してくれた方がつくった、素敵なアビ・ア・ラ・フランセーズをご紹介します。

こちらはじんさんがつくった爽やかなアビ・ア・ラ・フランセーズ。
アビ・ア・ラ・フランセーズをさらっと着こなしてしまうスタイリングに脱帽です。

福田織物さんの「コットンヘンプサテン」でつくったそうです。
洗いこんで育った様子も見てみたいですね。

ちなみに、じんさんは洋裁は独学とのこと!
アビ・ア・ラ・フランセーズは、つくり甲斐があって楽しかったとのこと。
ありがとうございます。

また、製作途中に、「ブルゾンでもイケるんじゃね?」ということで、上半身が完成した状態でも着用されていました。

まさか、「作りかけ」だなんて誰が信じるでしょうか。
どう見ても、格好良いショート丈のブルゾンです。

続いては、荻さんが制作した鹿革!のアビ・ア・ラ・フランセーズです。
長野県の野生鹿を鞣した革を5枚も使用したそうです。

あまりの迫力に恐れおののきました。
凄すぎます。

鹿革を使っているからこその造形美。
アビ・ア・ラ・フランセーズのシルエットが彫刻されているようです。

背景の紅葉とも相まって、非常に美しいターコイズブルーをしています。
まだ実物を生で拝見したことがないので、いつか荻さんのアビ・ア・ラ・フランセーズを拝んでみたいです。

最後は武藤銀糸さんがつくったデニムのアビ・ア・ラ・フランセーズ。

初めて見たとき、衝撃的でした。
デニムのアビ・ア・ラ・フランセーズ、格好良いじゃん!!と。

18世紀の貴族が着ていたコートを、令和にカジュアルに着こなしてしまう。
ファッションって面白いですね。

武藤銀糸さんのコーディネートも好きなんです。
インナーにパーカーを合わせてカジュアルダウン。
いやぁ、良いですね。
「これ、250年前のコートだよ」なんて言われても、とても信じられません。

ここからは「縫製のワンポイントテクニック」を紹介していきます。

アビ・ア・ラ・フランセーズ、一番の難所はやはり背面のプリーツです。

一見シンプルなつくりに見えても...

これほどの布が折り畳まれています。

プリーツなどの構造は、「半・分解展の仕様書」でも詳しく解説しています。

 

もちろん販売する型紙にも、プリーツの折り畳み方などを記載しておりますのでご安心ください。
もっとも布が重なるプリーツ部分は、18枚もの厚みになります。
現代のミシンは高性能とはいえど、なかなか縫うのが大変です。
厚みのある部分は、ゆっくり縫い進めるのが大切です。
手回しで縫ったり、縫い目を叩いて潰したり、下準備をしてから縫ってみましょう。

オリジナルを確認すると、もっとも厚みのあるプリーツの付け根部分にはボタンが付いています。

装飾性はもちろん補強の役割もあり、ボロ隠しとしても役立ってくれます。
なので、ちょっとくらい縫い目が上手くいかなくても、最後はボタンで隠してしまいましょう。


最後に「アビ・ア・ラ・フランセーズの縫い手順」を簡単に説明します。

まずは「上半身」を完成させましょう!
このままでも可愛いくらいです。

そして、下半身のスカート部分も完成させましょう。
上記写真はポケットをつくり終えたところ。
この後、プリーツもしっかりとアイロンで折り目を付けておきます。


ポケット部分のアップ。

そして最後に、上半身と下半身を合体させる。
裏地を付けている場合は、裏地は手縫いで留めると簡単ですよ。

アビ・ア・ラ・フランセーズの裏地は、基本的に「総裏仕様」で、見返しや裾の折り返しがつかない「即裏」が一般的です。

私の販売する型紙も同じ仕様にしています。
初めてつくる方は、この仕様が一番簡単で綺麗に仕上がると思います。

私がつくった作例では、「見返し」を付けています。
前端に大きな見返し、背中上部に小さな見返しを設けて安定させています。

プリーツ部分の裏地と袖の裏地は薄手のものを、上半身の裏地は厚手のものを使い分けて仕立てています。

最後に、左身頃のネック部分にのみ大き目の「ダーツ」が入ります。

これは完全なるイレギュラーです。
一般的にアビ・ア・ラ・フランセーズにこのようなダーツはありません。

しかし、私の所有するオリジナルの特徴でもあったので、販売する型紙には反映させています。

ただし、実際に製作される場合は省いても構いません。
省く場合は、右身頃の型紙を使って、左右を裁断します。
※衿の長さも右側に合わせましょう。

皆さんのつくるアビ・ア・ラ・フランセーズを拝見できる日を楽しみにしております。


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