日本が世界に誇る服飾財団、京都服飾文化研究財団(通称:KCI)が、京都で展示をおこなっております。
「装いを彩る—18世紀貴族女性の服飾小物—」
この展示は、京都駅のお隣「JR西大路駅」から徒歩5分ほどの場所にある「KCIギャラリー」で開催しています。
ビルの5階にある、こじんまりとしたワンルームギャラリーなのですが、それがいい!
小さい空間にギュッと愛が詰まった、愛でる者たちが集うオタの巣窟です。
入場は無料ですが、入り口で電話をしてスタッフさんと一緒に入場するドキドキなシステム。
5階に運ばれるまでのエレベーター内の沈黙も、これから対面する素敵な子たちへのワクワクを搔き立てます。

今展示の主役は、18世紀の貴族女性が手にしていた「服飾小物」たち。
・靴に履かせる靴。
・手を温めるかわいい物体。
・刺繍で埋め尽くされた小さな小さなバッグ。
などなど個性的な顔ぶれが揃います。
約20点ほどの18世紀の小物たちと、18世紀のドレス2着が展示されています。
なんといっても、この「少数精鋭」がたまらないんです。
大型展示では見落としてしまっていた、小さくも大きな発見と出会える場所。
それがKCIギャラリーです。
コンパクトなワンルームギャラリーですが、好きな人なら余裕で1時間は溶けますよ。(私はこの日も時間が足りなかった...)

今回は担当学芸員さんとお話しする時間をいただいたので、あれやこれやと話題が尽きませんでした。
話しのなかで、学芸員さんが選ぶ「推しの子」を聞いてみました。
それが上記写真の「エプロン」
え?貴族女性の展示なのにエプロン?貴族がエプロンするの?
なんて思ってしまいますが、庶民が想像するエプロンではありません。
美に特化した贅沢なエプロン。
絹、金糸、刺繍が詰め込まれた絶対に汚しちゃダメなエプロンです。
なんでしょう今の感覚でいったら、1万円札を繋げてつくったエプロンみたいな。間違っても手は拭けない感じ。

学芸員さん曰く、この「模様」が推しポイントだそう。
松の木のような、それとも海の中のような。
はたまた宇宙人たちの集会か...!?
見ればみるほど、惹き込まれる。賑やかで楽しい、ずっと眺めてられるエプロンなのです。
写真中央の「宇宙人の口」みたいなものは、巻き貝ではないか?との話しもありました。

私が興味深いなと思ったのは、ドレスの着せ付けです。
「18世紀の貴族女性」と聞くと、頭の上に船の模型を乗せたオシャレなのかギャグなのか、奇想天外なド派手ファッションがイメージされることもあります。
ところがKCIギャラリーの子たちは、なんて「お上品」なこと。
とても品良く・美しく、ドレスを着こなしています。

18世紀の洗練された装いを表現することも担当学芸員さんがこだわった点だといいます。
髪型や帽子、スカートの膨らませ方など、微細に調整をしながら着せ付けをおこなったそうです。

美しいスタイルを「後ろ姿」までじっくりと堪能できる配置になっているのも嬉しいところ。
かゆいところに手が届きます。

お淑やかなドレスと、目を惹く小物たち。
小さいけれどドレスを喰ってしまうほどの迫力にじっくりと向き合えるのが、KCIギャラリーの醍醐味です。

Pattans(パタン)
靴に履かせる靴。ヒール靴を履いて、このパタンを履く。
かかと部分の段差にヒールを掛けるように装着するオーバーシューズ。
ヒール靴を汚さないために着用されたそうな。
比較参照:Met Museum Pattens European early 18th century

Muff(マフ)
手を温めるための筒状の服飾小物。両側から手を入れることができる。
巨大な毛皮のマフが有名だが、こちらは絹地で小ぶりの愛らしいマフ。刺繍が美しい。
比較参照:Met Museum Muff British ca. 1780

Purse(パース)
こちらも担当学芸員さんのお気に入りだそう。
細い針を使ってじっくり丁寧に調査したところ、刺繍の下地に絹の平織が使われていたそうです。
肉眼では下地がまったく見えないほどミチミチに刺繍で埋め尽くされており、小さいけれど迫力満点でした。
比較参照:Met Museum Purse probably Austrian first quarter 18th century

Mitts(ミット)
指先のない長い手袋状の小物。手の甲から前腕を覆う。
こちらは形状からして肘まで隠れるか。
比較参照:Met Museum Mitts British first quarter 18th century

Fan(ファン)
貴族女性には欠かせない小物といえば、扇。
描かれたモチーフもさることながら、持ち手の象牙細工からも目が離せない。
3種類の扇それぞれに異なる細工が施されており、見応え充分。
比較参照:Met Museum Fan Dutch18th century

伝説の服飾美術展として語り継がれている1989年の「華麗な革命 -ロココと新古典の衣裳-」のために、当時のKCIスタッフが製作した復元小物も着せ付けに使用されています。
担当学芸員さんと、「その時代に生まれたかったね~」と顔を見合わせて笑い合いました。
お時間をくださった学芸員の皆々さま(本当にたくさんの!)に改めて、心からの感謝を。

コンパクトながらも愛がいっぱいに詰まったKCIギャラリー、
土・日・祝は、休み!
平日の9:30から17:00まで開館!
という、なかなか難易度の高いダンジョンですが、レベルアップにはうってつけ。
ぜひ、皆さまも足を運んでみてください。
8月7日までの開催です。
あつ~い夏が来る前に、急げ!
