アビ・ア・ラ・フランセーズの活版印刷【百点物】
「アビ・ア・ラ・フランセーズの活版印刷」
私が24歳のときに初めて手に入れた18世紀の衣服。
それが、1770年フランスの紳士服「アビ・ア・ラ・フランセーズ」でした。
「なぜ、こんなにも美しいのだろうか」
私はアビの美しさを解明するため、分解をしながらアビの構造を探りました。
内部を覗き見出したのは、現代ではありえない独自の設計方法です。
私はすぐさま製図に書き起こし、試作品を何着も縫い上げました。
そうしてついに自らの手で、アビの型紙を完成させました。
その時、アビの美しい造形を構成する線が、私の目には「アート」として映りました。
この美しさを、1枚の画に閉じ込めてみたい。
絵画のように、日常生活に添えてみたい。
そう思うと、いてもたってもいられなくなり、子供を寝かしつけたあとの夏の夜、私は印刷所に向けて自転車を漕ぎ始めていました。
「中野活版印刷所」
店内に鎮座するのは、年代物の重厚な活版印刷機。
私のような個人のマニアックな少量印刷にも真摯に対応してくれる小さな印刷所です。
夜な々な印刷所に通う日々が続きました。
アビの製図には、廃れてしまった「いにしえの技術」が詰まっています。
流れるような身頃に、湾曲した袖、満月の形をしたアームホール。
現代で見ることのない設計は、現代とは異なるロココの美意識を表現するために描かれていました。
この美しい線を生かすため、私は「活版印刷」の技法を選びました。
15世紀の西洋で誕生したこの印刷技術には、私が求めていた表情と質感がありました。
版に圧をかけて印刷された表面は僅かに凹み、その凹凸が平面の線に立体感を与えます。
目で愉しみ、指先でも美しさを感じとることができるのです。
活版に込めたアビ・ア・ラ・フランセーズの美しさを、ぜひ手に取って感じてください。
100枚のみ印刷できたので【百点物】として販売いたします。
絵画を鑑賞するように、アート作品としてお愉しみいただけたら幸いです。
用紙サイズ
タテ26.2cm ヨコ36.6cm
写真4枚目は額縁に入れた状態です。額縁は販売品に含まれませんのでご注意ください。
※アビの活版を製作したのは、2018年の夏です。
それから半・分解展の会場限定で少しづつ販売しておりました。
大切に保管をしていますが、わずかに3mmほど角が折れています。
また、厚みのあるヴィンテージライクな紙に印刷しています。
小さなネップや斑点がありますが、それは汚れではなく紙の表情ですのでご安心ください。
角折れや、多少の歪みにご理解いただいた上でのご購入をお願いいたします:)
★この活版印刷された型紙でつくると、ちょうどリカちゃん人形のサイズになります!